【長期投資】安定的なリターンを目指して。分散投資の重要性とは?

このブログの名前にもなっている”長期投資”。

価格変動が確実に予想できる投資資産があれば、上がるときに買って、下がるときに売れば良いでしょう。

しかし、そんな投資資産はありません。

長期投資を前提に考えたときには、リスク量を抑えつつ、リターンを取りに行くことが非常に重要です。

また、その手段としては、分散投資が手っ取り早いでしょう。

なぜなのか・・・。紹介します。

リスク量を抑える重要性

リスク量とはしばしば「リターンのばらつき(標準偏差)」などと表されます。

※リターンの非正規性や、リターンが大きく上ぶれることもリスク量に定義されてしまうため、「VaR」がリスクの本質であるとすることもあるかと思いますが、難しい話になってしまうので、ここでは取り上げません。

 

例を挙げてみます。

今、2つの投資対象資産、AとBがあったとします。

A:(24%、-20%、24%、-20%、・・・)のように24%,-20%の順に交互にリターンが出る資産

B:(-1%、3%、-1%、3%、・・・)のように-1%,3%の順に交互にリターンが出る資産

長期投資を前提にしたときに、AとBどちらに投資したいと思うでしょうか?

単年度ベースで考えたときにAに期待されるリターンは+2.0%です。

∵(24-20)÷2=2.0%

一方、Bは+1.0%

∵(-1+3)÷2=1.0% 

Aの方が単年度のリターンが高いから、Aに投資するという選択が正しそうに見えます。

 

確認してみましょう。 

2年間投資すると以下のようになります。(始めに100の資産を持っているとします。)

f:id:sikennbisya:20190120110721p:plain

単年度ベースで期待できるリターンはAの方が高いですが、2年間投資するとBの方が優秀といった結果になっています。

これを長期投資するとどうでしょう。なんとなく予想がつくでしょうか?

f:id:sikennbisya:20190120112300p:plain

青線がA、赤線がBですが、一目瞭然です。「B」が優秀であることがわかります。

資産を大きく増やした後に、大きなマイナスリターンを被ると資産減少の絶対額も大きくなります。

逆もしかりで、資産を半分にした後に、もとの資産額に戻そうとすると2倍のリターンを稼ぎ出す必要があります。

例.100万円を50万円にするのは、-50%のリターン。50万円を100万円にするのは+100%のリターン。単純な平均リターンは+50%もあるのに資産は全く増えない。

このようなことから、ばらつきを抑えつつ、リターンを稼いでいくことが重要であることがわかります。

 

分散投資効果

前節の結果、Bが優秀だからBに全額投資するのが最適だ!!とするのは早いです。

AとBに分散投資するという選択肢があります。

投資対象資産はAとBだけのまま、新しく系列を追加してみましょう。

C:AとBに1:4の割合で投資し、リバランスを毎年1回行う。

するとCの毎年のリターンの出方は以下のようになります。

C:(4.0%、-1.6%、4.0%、-1.6%、・・・)のように4.0%,-1.6%の順に交互にリターンが出る

単年度ベースでCに期待されるリターンは+1.2%です。

結果は以下図の通りです。

f:id:sikennbisya:20190120133720p:plain

先ほどの図に、C(緑線)を追加しています。みてわかる通りですが、Cが最も高い累積リターンになっています。

分散効果による効果がとてもわかりやすく出ている例になっています。

 

 

分散効果を効率的に得るために

ただし、何でも分散すれば良いというわけでもありません。

AとBの他にB'という投資資産があったとします。B’はAが24%、Bが-1%のリターンを上げる年に3%、Aが-20%、Bが3%のリターンを上げる年に-1%のリターンが出る資産とします。Bの真逆の性質を持っているとお考えください。

A:(24%、-20%、24%、-20%、・・・)のように24%,-20%の順にリターンが出る資産

B:(-1%、3%、-1%、3%、・・・)のように-1%,3%の順にリターンが出る資産

B':(3%、-1%、3%、-1%、・・・)のように3%,-1%の順にリターンが出る資産

ここで新たに、

C':AとB'に1:4の割合で投資し、リバランスを毎年1回行う。

という戦略を加え、C(AとB)とC'(AとB')で比較してみます。

f:id:sikennbisya:20190120144910p:plain

上図の通りですが、C(緑線)がC'(紫線)を上回っています

分散効果をうまく享受できているかどうかで、違いがでています。

AとBは互いのリターンを補完する関係性にあります。(どちらかのリターンがマイナスならば、どちらかはプラス)

Aにより大きなマイナスリターンを被る際に、Bのプラスリターンでマイナスを和らげることができるので、分散投資の観点からは相性が良いです。

一方、AとB'のリターンの方向性は同じです。(どちらのリターンもマイナスかプラス)

互いにマイナスリターンが出るタイミングが同じで、助長しあう関係性にあるので、分散投資の観点からは相性が悪いです。

 

AとBの関係性を負の相関関係、AとB'の関係性を正の相関関係にあると呼びます。

まとめると、

互いのリターンを補完しあうような、相関関係の低い投資資産をポートフォリオに組み込むことが、リスク量を抑えつつ長期的にリターンを上げ続けるのに重要だということです。

 

※※※※

相関は-1.0~+1.0の間数値で表現されます。

リターンの出方が似ていれば高い数値に、似ていなければ低い数値になります。

AとBの相関は-1.0、AとB'の相関は+1.0です。

-1.0ということはリターンの方向性が真逆であり、+1.0ということは方向性が同じであること示しています。

こんなに極端に相関が出ることは実際はあり得ませんが、わかりやすい例としてあげているとお考えください。

詳しい解説は、以下リンク先をご参考ください。

相関係数 - Wikipedia

※※※※

 

最後に 

今回伝えたかったことは、効率的に分散投資をすることが重要であるということです。

100,200と投資資産を増やしていけば分散効果も大きくなりますが、効果は薄れていく傾向にあるので、無理に投資対象を増やすことはありません。

あくまでも、効率的に!です。

そのためには、リターン特性の異なる資産をいくつか用意して、適度にリバランスしましょう。

私は伝統四資産(内外の株と債券)以外にも、伝統四資産と相関が低いであろうカバードボンドやインフラファンドに投資することで、分散効果を享受しようと目論んでいます。

カバードボンドの投資信託は設定から1年足らずですので、相関関係を分析するに値しないですが、インフラファンドはもう少し長いトラックがあるので、別の機会で記事にします。

分散投資とは何なのか?どれだけ重要なのか?ご参考になっていれば幸いです。