保険リンク戦略とは?伝統資産と無相関のオルタナ投資!

皆さんは何らかの保険に加入していますでしょうか。

保険料高いな・・・とか思ったことはありませんか?(保険の勧誘ではないです。。)

生命保険会社や損害保険会社が事業を続けることができているということは、基本的には、保険料を受け取る側に回った方が儲かるからでしょう。

題名にある「保険リンク戦略」とは、この保険料を受け取る側に回ることができる戦略です。(もちろん災害が起きたときには、支払いが発生します)

今回は保険リンク戦略の中でも、損害保険に着目した戦略について紹介していきます!

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損害保険リンク戦略とは

この商品に投資することで、

  • 保険の引き受け手になり、保険料収入を得ることができる
  • 大規模な災害が起き、この災害により生じた損失が一定額(トリガー)以上であった場合、契約に基づき損害額を支払う

ことになります。

ここでいう災害とは、ハリケーン・地震・火事・洪水等、さまざまな物があります。面白いものですと、宝くじが当たることをトリガーにしたものまであります。

地域も米・欧・日本まで幅広く存在しています。

少し脱線しましたが、整理します。

この戦略の主なリスク要因は想定を上回る規模や頻度での自然災害・事故が発生し、損失額が保険料収入(クーポンと呼びます)を上回ることになります。

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※T&DアセットマネジメントのHPより一部改変し、使用

 

保険リンク証券の種類

投資対象は「保険スワップ契約」、「保険ポートフォリオ取引」、「CATボンド」などが挙げられます。

保険スワップ契約
  • 保険会社や再保険会社との相対取引での契約。
  • 市場規模は約3000~4000億ドル
  • 年限は3~12ヶ月
  • 単一の災害を対象にした物から、複数の災害の災害イベントを累積した災害額をトリガーにしたものまで様々な種類がある
保険ポートフォリオ取引
  • 保険会社が保有する契約を束にして、その一定割合分だけ保有し、保険料を受け取る取引
  • ポートフォリオ内に複数の地域・災害を対象とした契約が組み合わされているので、分散効果を享受できる
  • 一方で、保険金の支払い額の予想が難しい
CATボンド

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※T&DアセットマネジメントのHPより
  • 保険会社、再保険会社がSPCを通じて債券を発行、自社が引き受けた自然災害に対する保険金支払いリスクを投資家に移転するもの
  • 市場規模は約200~400億ドルほどであり、流通市場がある
  • 年限は3~5年程度が多い
  • 単一の災害を対象にした物から、複数の災害の災害イベントを累積した災害額をトリガーにしたものまで様々な種類がある

また、CATボンドに関しては、個人が投資できるファンドがあります。

上図の参照先でもある、T&Dアセットマネジメントのリビング・アース戦略ファンドです。実質的な運用はセキュリス社が行っています。他に挙げられるプレイヤーとしては、ネフィラやクレディスイス等が有名どころだと思いますが、公募投信にはなっていないようです。

利回り水準も気になるところかと思います。

債券ごとにトリガーとなる災害規模の水準が異なりますので難しいですが、イメージを以下に記載します。

  • リビング・アース戦略ファンドの利回り水準は、2018年12月のレポートによると約8.0%
  • 2018年10~12月に発行されたCATボンドのクーポン水準は平均で約7.0%

多くがドル建ての債券ですので、為替ヘッジをつけると約4.0~5.0%程度が円ベースで期待できる水準でしょう。

これは、あくまでも保有しているCATボンドが全て毀損することなく償還された時に期待できる利回り水準であることはご注意ください。

伝統四資産との相関

ここまでの紹介で明らかですが、この商品は金融政策などに振らされることもありませんし、株・債券・不動産のようなマーケットとの相関が低くなっています

このブログでさんざんと話題にしている、「分散効果」をより効果的に得ることができる資産であるといえるでしょう。

保険リンク商品に限った話ではありませんが、伝統資産との相関の低さこそが、オルタナティブ投資を行う魅力となっているでしょう。

最後に

昨今、この保険リンク商品が取り巻く環境が非常に厳しいものとなっております。

私自身、投資をしているわけではないですし、投資に踏み出すまでハードルはそれなりに高いと思います。

ただ、世の中にはこんな商品があるのかと新鮮味がある物だと思い、紹介しました。

保険リンク商品の市場環境については、別記事にて用意しております。

保険リンク戦略を取り巻く市場環境と今後の見通しを紹介!

↑記事を読んでいただければ、今が投資の時期かもしれない?という考えも浮かぶかもしれません。