保険リンク戦略を取り巻く市場環境と今後の見通しを紹介!
前回の記事で、「保険リンク戦略」を紹介しました。
伝統資産と一線を画したユニークな投資でしたが、保険リンク戦略の市場環境はここ数年非常に厳しいものとなっております。
逆張りが好きな方は、投資してみたくなるかも・・・?
この戦略をご存じでない方は、一度上リンク先の記事をご覧ください。
パフォーマンス例
2017、2018年と連続して、価格が大きく落ちていることが確認できます。
2年連続で大規模な災害が起きたことで、保険損害額の多額の支払いが起き、このようなパフォーマンスになっています。
決してこのファンドの運用が悪いのではなく、市場環境によるものであることを強調させていただきます。
2017年の自然災害
2017年度は米国を大規模なハリケーンが3つ襲いました。
ハリケーンハービー、ハリケーンイルマ、ハリケーンマリアです。
一つ一つの規模ももちろん大きかったのですが、同期間で複数襲来したことにより、累積型の契約内容となっている保険契約で元本毀損が相次ぎました。
特に、保険スワップ契約を組み込んでいたファンドでは大きなマイナスリターンが見られました。
2018年の自然災害
2018年度は山火事が焦点になっています。
新聞等でも連日、カリフォルニア州北部のキャンプ・ファイアは報道されていました。
また、連続してカリフォルニア州南部のウールジー・ファイア も発生しました。
Insane footage of the California fires. 🎥 via @abc7la pic.twitter.com/8M0DxB3xM2
— Lori McNee (@lorimcneeartist) November 13, 2018
まだまだ、業界損失額は確定しませんが、キャンプ・ファイアで約130億米ドル、ウールジーファイアでは約40億米ドル程度になると見込まれています。
これを受けて、山火事をトリガー対象としたCATボンドのいくつかは全損すると見込まれています。
市場参加者の動向
通常、大規模な災害が起きた翌年度は、CATボンドやスワップ契約の保険料(クーポン)水準は増加する傾向にあります。
そこで昨年はクーポン水準が上がることを予測して、新規の投資家が多く集まりました。
結果、需給のバランスが崩れて保険の買い手が多くなり、クーポン水準の上昇は2割程度に留まってしまいました(当初は5割程度を見込んでいた)。
普通の株や債券と同じで、買いたい人が多くなれば、安く買うことが難しくなることと同じです。
では今年度は?ということですが、昨年度のような需給バランスの崩れは確認されておらず、このまま行けばクーポン水準が上昇すると見込まれています。
1年我慢していた投資家が離れていくのと、昨年度新規参加した投資家が失敗している様を見て新規資金も集まりにくくなっているのかなと思います。
地球温暖化が進み自然災害が起きやすくなっている??などということを考慮しなければ、今年度こそ参加するチャンスのようにも見えます。
最後に
保険リンク戦略はオルタナティブ投資の中では比較的認知が進んでいると思うのですが、公募投信は少なく、個人投資家にはアクセスが難しいです。
もう少し料率が低く、ネット証券などでも取り扱いが進めば選択肢にも入ってくるとは思うのですが。
来年度のリターン次第で、注目度も大きく変化することと思いますので、期待しつつ見守っていきます。